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生命保険は民法上の本来の相続財産ではなく、みなし相続財産です。
現預金や有価証券を生命保険に転嫁することにより、一定額の資産を
遺産分割協議の対象から外すことができます。
父が実質的に1,000万円の資金を拠出し、長女の名義でリゾート会員権を購入した場合、
その役務の提供を受けるのは長女であるので、明らかに贈与となります。
それに対し・・・
生命保険の加入形態
保険料負担者 | 契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 |
---|---|---|---|
父 | 長女 | 長女 | 父 |
これも上記のリゾート会員権と同様、一見すると父から長女への贈与に思われます。
しかし、この生命保険の契約形態の場合、次の2つのケースが考えられます。
つまり、この生命保険契約を締結した時点では「誰が受益者となるのか」は確定できておりません。
生命保険契約に関しては、相続税法上では保険事故(死亡・解約等)が発生したときに初めて、
相続又は贈与の課税関係が発生するとされております。(相3①三 同5①)
生命保険は受取人固有の財産。
民法上の本来の相続財産ではないので、長女は生命保険とは別に民法上の相続財産に対する
遺留分を受け取る権利を有します。
この契約形態を活用することで、
現金に色を付ける・・・つまり遺産分割協議(話し合い)の対象から
外しながら、財産を渡したい人に確実に渡すことができます。
しかも、「本来の相続財産」から「みなし相続財産」へ転嫁されますので、
遺留分の計算基礎となる財産を引き下げることもできます。
ただし、遺産総額に占める保険金(保険料)の割合が大きい場合には、「特別受益」と認定される場合がありますので、「やりすぎ」は禁物です。(平成16年10月29日 最高裁判決)