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生命保険契約は、死亡保険金・満期保険金など支払事由発生時には基本は一時金で支払われます。
一時金で支払われる保険契約に「年金支払特約」付加することで、年金(分割)で受け取る選択肢を増やすことができます。
法人税法における考え方は発生主義です。保険金が支払われることが確定しその通知を受けたら、たとえ現金を受け取っていなくても支払が確定した保険金額の全額を利益計上しなければなりません。
例)
まずは、法人契約で保険金を単に分割で受け取った場合の経理処理について理解して下さい。
これに対し
生命保険協会は国税庁に対し、初めから年金で受け取ることが約定されている保険契約の経理処理について質問をしました。
生命保険協会は年金で受け取ることが基本となっている収入保障保険と満期保険金を年金で受け取る養老保険についても、上記のように全額を利益計上しなければならないのか、それとも「年金」を受け取った都度、その事業年度毎に利益計上してもいいのか質問をしておりました。 >
回答:
平成15年12月15日 国税庁が各国税局及び生命保険協会へ
見解を示した事務連絡
平成15年12月15日に、国税庁は生命保険協会からの質問を受けて、
「法人受け取りの収入保障保険、年金払特殊養老保険の税務取り扱い」について、
事務連絡を行ないました。
それによると、
のどちらの経理処理を行なっても良いことが明確になりました。
また、同時に基本は一時金受け取りの保険であっても「年金支払特約」に
基づいて年金で支払った場合も同様の取り扱いが可能であることが明確にされました。
保険金の全部または一部を支払事由が発生した翌年以降に年金で受け取ることができれば、一定年度にわたり確実に営業外収益を確保することができます。
つまり
「年金支払特約」の仕組みを導入すれば、売上の大幅ダウンによる
事業継続の危機を救う最強の防御システムとして活用できるようになるのです!!
支払事由発生前にあらかじめ「年金支払特約」が付加されている契約のみが
A法の税務取り扱いが可能となります。
支払事由発生前に、あらかじめ「年金支払特約」を付加しておくことです。
支払事由発生時に慌てて付加しても「あとの祭」というわけです。
注意!!
支払事由発生後に「年金支払特約」を付けて、年金で受け取った場合は、
B法の税務取り扱いしかできません。それを認めてしまったら、如何様にも
利益操作が可能となってしまいます。
「年金支払特約」が付加されている 終身保険・養老保険・定期保険・逓増定期保険・逓減定期保険 |
---|
保険金支払事由発生前に予め「年金支払特約」が付加されている保険契約は
※支払事由発生前に年金で支払う旨を約定されていない契約については、 |
法人税の基本的な考え方による経理処理
死亡保険 | 年金支払期間 | 年金受取額 |
---|---|---|
10,000万円 | 10年 | 1,000万円 |
前払保険料 / 保険積立金:なし
B法による経理処理
現金 1,000万円 未収金 9,000万円 |
雑収入 10,000万円 |
翌年以降、年金を受けとる都度、未収金を取り崩す
現金 1,000万円 | 未収金 1,000万円 |
毎年、この経理処理を繰り返す
平成15年の事務連絡に則った経理処理
死亡保険 | 年金支払期間 | 年金受取額 |
---|---|---|
10,000万円 | 10年 | 1,000万円 |
前払保険料 / 保険積立金:なし
A法による経理処理
現金 1,000万円 | 雑収入 1,000万円 |
毎年、この経理処理を繰り返す
経理方法についてはA法、B法どちらでも選択できる
ただし、ひとつの保険金支払事由に対して、保険契約が複数件ある場合で
契約によってA法 B法を選択することはできず、統一性を持たせなければならない。
代表者に万一のことがあった時に、会社を守るために加入した生命保険なのに、死亡退職金の適正額を大幅に超えた保険金を受け取った場合、思わぬ税金が発生しかねません。
会社の大黒柱を失い、会社を存続させるべきか清算したほうがいいかと途方にくれているところへ、○千万円という税金を取られてしまっては「泣きっ面に蜂」です。
しかし、あらかじめ「年金支払特約」を付加しておき、当該事業年度に余計に支払う税金を大幅に引き下げ、かつ翌年以降の営業外収益を確保できたらなば、まさしく「会社を守る保険」として最大限に活用できるでしょう。
役員退職慰労金・弔慰金(税務上損失として認められる最大値)8,100万円の場合 | |
---|---|
役員報酬: 100万円 | 在任年数: 25年 |
功績倍率: 3倍 | 弔慰見舞金: 6ヶ月 |
被保険者 | 保険会社 | 保険種類 | 死亡保険金額 | 一時金受け取り | 年金原資 | 年金支払特約 | 年金額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
日本 太郎様 | AAA生命 | 定期付 終身保険 |
11,000万円 | 11,000万円 | X | ||
日本 太郎様 | BBB生命 | 定期保険 | 10,000万円 | 10,000万円 | X | ||
日本 太郎様 | CCC生命 | 終身保険 | 1,500万円 | 1,500万円 | 付加できます | ||
合計 | 22,500万円 | 22,500万円 | 万円 | 万円 |
支払事由が発生した事業年度
実行税率 34.3%
内訳
一時金受取 | 22,500万円 |
---|---|
年金の初年度分 | 万円 |
現在加入している保険金額は22,500万円。
特別損失として支払うことができる死亡退職金の額は8,100万円が限度。
相殺できる繰越欠損金もなく、保険差益は14,400万円。
これにより多く支払わなければならない税金がなんと、4,939万円。
それに対し、保険の見直しを行ないながら年金支払特約を活用すると・・・
被保険者 | 保険会社 | 保険種類 | 死亡保険金額 | 一時金受け取り | 年金原資 | 年金支払特約 | 年金額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
日本 太郎様 | AAA生命 | 解約 | X | ||||
日本 太郎様 | BBB生命 | 定期保険 | 8,000万円 | 8,000万円 | 減額 | X | |
日本 太郎様 | CCC生命 | 終身保険 | 1,500万円 | 5年 | 300万円 | ||
日本 太郎様 | 新規加入 | 定期保険 | 10,000万円 | 5年 | 2,000万円 | ||
合計 | 19,500万円 | 8,000万円 | 万円 | 2,300万円 |
支払事由が発生した事業年度
実行税率 34.3%
内訳
一時金受取 | 8,000万円 |
---|---|
年金の初年度分 | 300万円 |
翌事業年度以降
2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | |
---|---|---|---|---|---|
CCC生命 | 300万 | 300万 | 300万 | 300万 | |
新規加入 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 |
合計 | 2,300万円 | 2,300万円 | 2,300万円 | 2,300万円 | 2,000万円 |
死亡した当該事業年度には、死亡退職金として必要な額だけを一時金で
受け取ることにより、保険差益をわずか200万円に抑え、
課税額も68万円の増加で済みました。
年金支払特約を活用することで、万一の時の税金をなんと
4,871万円も軽減させることができます。
さらに、翌事業年度以降は売上げ減少リスクを補填する営業外収益を
5年間確保できる仕組みを構築することができました。
代表者に不測の事態が発生し、
売上の大幅減少により事業の継続が危ぶまれる可能性があるような会社において、
「年金支払特約」により一定期間の営業外収益を確保できる仕組みを構築しておけば、
安心して後継予定者へ継承出来るようになります。
年金支払特約は保険業界の中では極めてマイナーな特約で、付加できる保険会社とできない保険会社があります。さらには、年金支払期間も1年刻みで選択できる会社や「10年」の1つしかない会社など、細かい規定が各社バラバラです。
幸いなことは、付加できる会社の場合、全ての会社が現在加入している契約に中途付加することができます。
年金支払特約を付加し実際に保険金支払事由に該当した場合には、約定通りの一時金で受け取るか「年金」で受け取るかの2つの選択肢を持つことがができますので、どちらにを選択するかその場になってみなければわからない状態であっても、付加しておいてなんら損にはなりません。
ご自身の会社で加入している生命保険が年金支払特約が付加できるのか、
あるいはどう対策を講じたら良いのか、どうぞ、お気軽にご相談ください。